ほんのちょっと、遠回り。

もう一つの卒業。(1月28日の日記より。)
私は、2度、生まれ育った地を離れたことがあります。高校時代まで自宅の近所で過ごした私は、行動範囲を広げたくて、他の地方の大学に進学した。見知らぬ土地で過ごした4年間。学友も、私と同じで、それぞれの地元から飛び出して同じキャンパスに集結した。とにかく毎日が新鮮で、本当に楽しかった。そんな4年間を経て、地元の良さにも気づかされた私は、卒業後、再び地元に帰った。これが、また意外と新鮮な気持ちになれた。知っているはずの土地での毎日の生活が、何だかワクワクした楽しい気分で過ごすことが出来た。ずっとここに住んでいたら気づかなかった新しい発見もあったりした。「やっぱり地元っていいな」そう思っていた一方で、社会人になって5年以上が経過し、少しでもステップアップしたいと考え始めた私は、再び地元から飛び出した。このときは、どちらかというとつらかった。今の生活が嫌で出たかったわけじゃない。むしろ、地元をより好きになっていた。そういった自分の好きなもの、大切なものを失ってでも、これから先の自分の将来のことを考える必要があった、当時の私はそう思っていた。過去を一切捨てて、新しい土地で、より良い仕事を探すことだけに専念した。しかし、新しい友達がいっぱいできた大学時代とは違い、知人はほとんどいない。地元の知人とはまったく連絡経路を断ち切ってしまった。孤独と空虚感、とにかく自分との闘いだった。あのまま地元にいれば良かった・・・・・何度そう思いそうになったことか。そんな2年間を経て、やっと自分に合った仕事に就くことができた。「夢」が叶ったのだ。あれから、まもなく1年。仕事には慣れたが、まだまだ始まったばかり。「もう一つの卒業」なんて言えるほど、経験は積んでいない。もっと、もっと働いて、実力をつけて、今の仕事に溶け込んだとき、「もう一つの、出られなかった卒業式」をあたらめて振り返ることができるだろう。とにかく今は、つぎの目標に向かって努力する時期なのだ。