「ピッチャー谷中、背番号20。ショート斉藤、背番号5。」

第7回は、2名の「2003年阪神タイガース・隠れV戦士」を紹介します。
まずは、「タニチュー」の愛称で親しまれている谷中真二投手(31歳、来季で9年目)
攻撃的なピッチングが持ち味です。どんなときでも、信条である“強気のピッチング”は崩しません。バッターのインコース、つまり、バッターの体に近いところに、球を投げるのがうまいです。ゆえに、打席に立つ相手選手にとっては脅威です。体の近くに球が来るから、つい振ってしまう、でも打ちにくい。下手すれば、デッドボール(投球が身体に当たる)になるかも知れない。実際、タニチューは今季たくさんデッドボールを投げました。
そのピッチングで、西武ライオンズ時代は、二軍戦を中心に試合出場して、好成績をあげました。その下積みを生かして、2000年には一軍でたくさん投げました。その翌年シーズン途中に阪神に移籍し、2001年・2002年は、2年続けていいピッチングを続けました。2003年にチームは優勝を果たしましたが、皮肉にも、谷中個人としてはよい成績を残すことができず、素直に優勝を喜べない不本意なシーズンとなってしまいました。そして2004年、オリックスブルーウェーブに移籍して、新しい気持ちで公式戦にのぞみました。いい結果を残すことはできませんでしたが、投手不足というチーム事情から、たくさん投げさせてもらったシーズンになりました。
2005年、自身にとって4球団目となる新天地で、“今度こそ”いい結果を残したいと、決意を新たにしていると思います。
つぎに、楽天イーグルスの主力選手として期待されている斉藤秀光内野手(29歳、来季で12年目)
今でこそ、守備も打撃も走塁も何でもソツなくこなす野球選手に成長しましたが、どちらかというと、内野の守備のほうで、長年高い評価を受けてきました。エラーの数は少なくありませんが、積極的で、基本に忠実な、守る位置のとり方、打球の取り方は、若い選手、いや、野球選手を志すこどもたちにも、良いお手本になります。その持ち前の守備力で、一軍選手として頭角をあらわしたのは、2000年のシーズンのことでした。当時、遊撃手のレギュラーだった塩崎選手(現オリックスバファローズ)の守備力を補うため、競った試合の終盤で、内野の守りについて、チームの失点を抑える役目を果たしていました。チームが勝つために、一軍ベンチに欠かせない存在として、重宝されたシーズンでした。
そんな斉藤が、打撃面でも注目されるようになったのは、2002年に阪神タイガースに移籍したのがきっかけでした。斉藤が阪神に在籍した2002年・2003年は、阪神が定位置であった「最下位」から脱出した飛躍のシーズンでしたが、皮肉にも、斉藤がこの間、一軍の試合に出ることはほとんどありませんでした。そんな斉藤の活躍の場は、鳴尾浜球場を中心とした二軍での試合でした。出場機会に恵まれ、打席に立つ機会が増えました。これが「吉」と出て、斉藤の打撃力はみるみるアップしました。ついには、2003年のウエスタンリーグ首位打者という栄光に輝きました。また、阪神の二軍も2002年・2003年ともに優勝を果たしており、斉藤自身も優勝に貢献できたという、いい経験をすることができました。
満を持して、2004年はブルーウェーブに復帰。文字通り、一回り大きくなった斉藤を、私たちに見せてくれました。そして、2005年。「主力野手になれる」実力を持って、斉藤は、杜の都に旅立つ。背番号「5」をもらえたのは、厚い信頼・高い期待の証でしょう。
タニチューと斉藤、今度こそ、一軍で、心から酔える「V戦士」になれるように。熱い声援をよろしくお願いします。