侮るなかれ、イヌワシ軍団

はっきり言おう。彼らはまだ目覚めていない。
いちばん痛いのは、秋季練習をきちんとやっていないこと。いや、一応はやりましたよ。でも、現在戦力になっているほとんどの選手は、その時点ではまだチームに合流していません。秋の時点では、今の戦力の約半分しか選手はいませんでした。チームの全体像がきちんとわからない状態で、来季を見据えた練習ができるわけがないし、自分が何を鍛えるべきかその役割がわかるわけがない。ただ、「楽しく、いい汗をかく」ことはできたと思います。それが、楽天の秋季練習の最大の目的だったのだから。
だから、彼らにとっては、2月に始まった春季キャンプが、事実上「秋季キャンプ」みたいな位置付けだったのです。オープン戦に入って、やっと「春季キャンプ」モードになったも同然です。そして、公式戦が始まった頃が、彼らにとっては「オープン戦」なのだ。スタートが他チームより出遅れている分、何もかもがワンテンポずれています。オープン戦で、田尾監督が目を覆ってしまうようなミスが続発したのも当然です。他チームと戦えるほどチームとしての技術が完成していない「春季キャンプ」状態ですから。それは、一場が登板したとき、内野手の守備体系がしっかりしていなかったことからもわかります。個人の技術を出し切ることに精一杯で、チーム内でお互いのことをしっかりと理解できていない。確かに、個人の技術は悪くはないですから、防御率や盗塁、本塁打の数字はそこそこ稼げています。でも、チームプレーという面では、まだまだ未完成です。勝てるわけがありません。オープン戦では相手も調整段階ですから、多く負け越さないで済みました。しかし、公式戦はそうはいきません。
ズバリ。楽天は、開幕からしばらくは、他チームから置いてけぼりをくらうでしょう。
問題は、いかに早く「オープン戦状態」から抜け出すか、だと思います。負けても負けても、とにかく試合を積み重ねれば、チームプレーの形も完成に近づいていきます。できれば、交流戦が始まるまでに、チームとしての形がいくらかできるといいんですけどね。遅くとも、6月には「楽天野球」が一定の形を完成させると思います。個人個人は優れた人材の集団ですから、まとまりが出来出したら強いと思いますよ。そして、最終的には、“帳尻あわせ”で3位に駆け込むんじゃないか、というのが、わたしの予想。
それともう一つ、このチームは“スタートダッシュ”をやっちゃいけない。なぜならば、楽天とはおっさんの集団だから。絶対に息切れしますよ。無理しちゃいけない。その代わり、一つひとつのプレーの確実性を高めることで、勝ち星はついてくると思います。
キーマンとしては、投手では藤崎と有銘。彼らは若く、伸びしろがあります。年間通して投げ続けて、さらに安定感を増して欲しい。野手では関川さんと飯田さん。気をつけるのは、張り切りすぎないこと。ペース配分をしっかりやって、年間通して働けるように。ベテランなんだから、そういう自己管理くらいはできると思います。
さらには“隠れキーマン”として、佐竹を指名します。困ったときの佐竹として、ケガでもしない限りはずっと一軍に置いてあげて欲しい。代打も代走も守備固めも何でもできますので。危なっかしいですがミスはしませんから。と思っていたら。見事に開幕一軍漏れ。一日も早い一軍復帰を待っています。