愛がすべてだ

あのオーディションから1週間ですか。
あちこちのサイトでも、テレビに映し出された映像を見て、
さまざまな感想を持たれているようで。

少なくとも言えるのはね、
やはり彼女らの、せんせい方に対する反応っていうのは、
今時の中学生の反応そのままだと思うんです。
そして、それに対して怒りを覚えた大人たちの反応も、
大人として当たり前の反応だと思うわけで。

「自分をアピールすること」が芸能界でやっていくのに大事なことだってのは
わかっている。じゃあ、どうしたらいいのか、それがわからない。
それが実際のところではないでしょうか。
我が国日本の、一般社会における自己主張が許されない今の世の中。
これは、学校教育だけではないと思うんです。
民間企業でも、自分のアイデアを述べることより、上司のイエスマンになることが
高い評価を得る。そんな実態だ。
つまり。
日常的に自分を主張したくても、大人の前だと、おしつけられて何も言わせてもらえない。
上司の前では、つねに顔色を伺ったうえで、何かしないといけない。
そういう習慣を身につけさせられている。

しかし、芸術の世界では、そんな姿勢は通用しない。
自分というものを表に出さない習慣を身につけさせられない者が、
そんな世界に飛び込んでいっても、すぐに順応できるかっていうと、
そう簡単にはいかないと思う。
言われたことに対して、返事一つをするのに、何故こんなに時間がかかるのか。
そういう習慣がついてない者にとって、これは実に大きな「壁」だと思うんです。
頭ではわかっていないことはない。
でも、ことばで、みんなの前で言うことができない。
表現のしかたがわからない。
わからないことがあっても、何がわからないのかがわからないから
質問ができない。これはとても大きいです。
わからないことを素直に聞けないのも、今の社会の実態だから。
今までがんじがらめの中で生活してきた者が
いきなり表現の場を与えられて、さあ、どうぞ、表現せよ、と言われても
すぐにできるわけはないだろう。

じゃあ、この先はどうしたらいいか。
長い時間をかけて習慣が身に染み込んだように、
やはり、粘り強く時間をかけて習得しないといけない。

そういう意味では、ここ3人は、比較的早く、進歩したんじゃないかな。
技術の習得はもちろんのこと、
教える側の意図を速やかに理解し、それを表現することができるまでになったし、
分からないことを積極的に聞くことも、できるようになった。
合宿2日目と3日目では、もう、雲泥の差です。

これには、やはり、指導する側の「力量」があったからなのでしょう。
心と心をぶつけ合おうという姿勢。
これが、即座に響かなくてもいいんです。
次第に、じわじわ、っと、心に湧いてくるはずだ。
やはり、「心」の問題に行き着くんですよね。
心を開かない者に対しては、粘り強く「心」の部分で訴える。
これは指導者の大切な役割だと思います。

ぶつかり合うことを避けて、物事を進めようとしているこの世の中。
本音で語り合うことが許されない社会の実態。
そんなことじゃ、進歩なんてしないんです。
ぶつかることを恐れない気持ち。
指導者にとって、忘れてはならないものです。

この「心」のぶつけ方は、人それぞれでいいでしょう。
これが単なる逆ギレになってはいけない。
感情は高く、しかし、心の奥底では冷静に、
状況を見失わないようにしなくてはいけない。

そういった意味では、夏せんせい、菅井せんせいの指導は良い。
今後の指導が、当然、今後の楽曲、彼女らの芸能活動に影響を与えるわけで、
粘り強く、彼女らとぶつかって欲しいですね。


・・・・・しかし、田中さんには、せんせい方の言うことがどこまで伝わっているのか。
なんだかわかっていないような気がするんですが、
今の田中さんにそれを押し付けるのは、時期尚早だと思うので。
これからが、田中さんが最も成長する時期ですからね。人間的にも。
じっくり、じっくりと、育っていって欲しいと思っています。